曲ばかりを練習しても〇〇はつかない。

体験レッスンにて

先日、他のお教室から事情があってかわっていらした方の体験レッスンをしました。

 

 

中学生のお子さんです。

 

 

何年か習っていたようで、いままで弾いていた楽譜をみせてもらうと、曲は中級程度のもの。

 

 

どれくらい弾けるのか、弾いてもらいました。

 

・・・が。

 

 

曲のはじめからしどろもどろ。

 

有名なはずのそのメロディーはとうとう聴こえてはきませんでした。

 

 

その曲は一度仕上げて弾けていたそうです。

 

 

実はこのようなことはよくあることなのです。

 

私のところに体験レッスンにいらっしゃる、ある程度の割合の方がそうです。

 

 

たぶん、そのお教室では曲ばかりを弾いていたのでしょう。

 

 

 

確かに、最終的には楽曲を弾けるようになるのがバイオリン学習の目的です。

 

 

 

でも、1曲仕上げて時間がたったらまったく弾けなくなる、とか次に学習する曲をまるで横車を押すようにまた1から苦労して弾いていく、というのは、実力がついていないということです。

 

 

 

せっかく曲を仕上げても、それが砂でつくったお城のようになくなってしまうのは・・・(;_:)

 

 

 

ではちゃんと力をつけて進歩していくにはどうしたらいいのでしょう。

 

 

 

ピアノなどを習った方はご存知かもしれませんが、曲のほかに「ハノン」とか「ツェルニー」などを学習しますね。(一例です。他にもいろいろな教材があります。)

 

 

これらは、決して発表会など人前で演奏するものではありません。

 

 

なのに、どうして?

 

 

 

それは楽曲を魅力的にきちんと弾くための土台作りのため。

 

 

 

たとえば、私なりに説明しますと。

 

 

木でおうちをつくるのに、森から切り出してきたままの丸太をそのまま使うことはしませんよね。

 

 

ちゃんと木を削って形や長さや太さを整えて使いますよね。

 

 

 

そういった作業を「ハノン」や「ツェルニー」でするのです。

 

 

 

人間の片手5本の指の長さ、太さ、強さはそれぞれちがいます。

 

あ、だからといって指にカンナをかけて削るわけではありませんよ(;^ω^)

 

 

自分の指を自分で自在にコントロールする訓練をするのです。

 

 

 

 

ざっくりとピアノで説明しましたが、バイオリンはもっと別の意味でこの作業が重要なのです。

 

 

 

ピアノのように用意された音を持たないバイオリンはさらに下地づくりが大切。

 

 

 

システム、といってもいいかもしれません。

 

 

 

それらを構築しない限り、練習しても砂のお城をつくるだけになりかねないのです。

 

時間がたてば消えてなくなってしまう・・・(T_T)

 

 

 

たぶん、前述のお子さんはそれ(システムづくり)をしていなかったのだと思われます。

 

 

 

でもそれは本人の責任ではありません。

 

 

指導者が気を付けることなのです。

 

 

 

 

習いはじめから、ちゃんと積み重ねて実力がつく。

 

 

はじめはそれほど一生懸命でなくても、本人が「弾きたい!」と真心で思ったとき

その地点から積み上げていける、そんなレッスンが良いレッスンだと思います。