ウィーンフィルのコンマスから教わったこと。

地元の情報誌をみていたら、気になるコンサートを発見!

 

ウィーンフィルの元コンサートマスターのライナー・キュッヒルさんのコンサート。

 

私がまだ学生だった頃、彼の公開レッスンを受けたことがあります。

その時のことを思い出しました。

 

当時、現役のウィーンフィルのコンマスでいらして、レッスンを受けられる幸せと緊張でドキドキしました。

 

私達、バイオリンを学習するものからみたらまるで雲の上のお方。

 

聴いて頂いたのはヴィタリのシャコンヌ。

 

どんなミラクルな指導がされるかと、期待していました。

でも、彼の言葉は至極当たり前のことばかり。

 

何か拍子抜けしてしまい、「ふん、ふん・・・。」と聞いていました。

 

すると、キュッヒルさんは

「君はさっきからうなずいているが、ではなぜやらないんだ?」と。

 

私は大変な勘違いをしていたことに気がつきました。

 

どんな高度なテクニックも、素晴らしい音色もすべてシンプルで当たり前に思えるようなことを地道に継続してやった先のことなのだ、と。

 

小手先の「こんな風にやればさっさとうまくひけますよ~。」とか、いわゆる、「秘儀」はないのだと。

 

私は、シャコンヌをうまく弾くことよりもっと基本中の基本を彼から教わりました。

 

世界の一流は実は当たり前のこと(それは本質と言えるものですが)を大事にしています。

実際にそんな一流の方から教わったことは、今、私の宝となっています。

 

そして、その素晴らしい機会を私のような甘ちゃん学生に与えてくださった、

当時のバイオリンの師に感謝してもしきれないのです。