私がレッスンで重要視しているのは、
「生徒さんに実力がつくこと。」
どういう事かというと、例えば、発表会などでとても上手に弾けていた人がいるとします。
でも、その生徒さんが、しばらくその曲を弾かないでいる間に弾けなくなっていたりすることがあるのです。
または、新しい曲にとりかかったときに、また苦労して練習をしなくてはならないとか。
これは、実力がついた、と言えないのではないかと思います。
何かの事情で他の教室からかわってくる方に時々見受けられます。
聞くと、教則本は曲集の1冊のみ。
毎回先生が弾くお手本演奏をきいて真似をする。
自分で譜面を読めない。
ポジションの移動も耳頼りで不確か。
など。
今までとても一生懸命に練習してこられた様子なのに、とても残念なのです。
せっかく何年もバイオリンを練習したからには、
初めてみる楽譜がそれなりに弾けるとか、
何年か前に発表会で弾いた曲が、少しさらえば、また弾けるようになるとか、でありたいですよね。
そのための練習方法や教材があります。
私が日々行うレッスンはそれを主眼においています。
その練習は人によってはあまり楽しい、とは言えませんが、
毎日地味にこつこつ練習してそのテクニックを身につけ、腑に落ちたとき、
「なんだ、こうやって弾いているんだ!」
単なる指を指版に落とすだけの動作さえ、楽しくて、いつまでも弾いていたくなります。
新しい曲を譜読みするのも、楽しくなります。
この感覚は学習している最中は全然わからなくて、まるで高い山に登っているみたいなもの。
無心になって一歩一歩進み、頂上について、ああ、こういう景色なんだ、とわかるみたいです。
私がやるのは、安全な登山道を生徒さんがちゃんと登るのを見守り、ガイドすること。
横道にそれそうになったら、正しい道を指し示すこと、です。
とっても地味な作業ですが、不思議と生徒さんは、定規にあてられたように?すっと整う感じがするようです。
癖のないプレーンな弾き方をまず身に付けて、そこから生徒さん独自の色合いの音楽を作っていってほしいと思います。
コメントをお書きください